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マカロフ(PM:Pistolet Makarova, )は、ソビエト連邦において開発された自動拳銃。 堅実な設計の中口径拳銃として、ソビエト連邦軍やロシア連邦軍・ロシア国境軍など、多くの軍や準軍事組織で採用された。 == 設計 == マカロフは、第二次世界大戦後、戦前からの軍制式であった大型拳銃のトカレフTT-33に代わるものとして開発され、1951年に制式採用された。名称は、主任設計者のニコライ・マカロフ()にちなむ。 その設計には、ドイツのカール・ワルサー社が1929年に開発したワルサーPPが大きな影響を与えている。作動方式は単純なストレートブローバック、撃発方式はダブルアクションとシングルアクションの兼用であり、また、スライド左側面後方には手動式の安全装置が装備された。これらのシステム一切、そして、全体のフォルムの多くは、ワルサーPPのそれを踏襲したものである。独自のアレンジとしては、スライドストップレバー(遊底止め)が追加されている。 在来制式モデルのTT-33は安全装置を欠くために実用上大きな不便があり、その点で本銃は大きく改善されている。なお、ワルサーPPと同様に、この安全装置にはデコッキング機能が付加されており、安全装置をセーフティーポジションにすると撃鉄のコッキングは解除(デコッキング)される。安全装置を作動させる方向はワルサーPPとは逆で、レバーを下から上へ向かって押し上げる。 使用弾薬は、拳銃の戦場での重要性が薄れたと判断した軍部によって、ドイツが第二次世界大戦末期にワルサーPP向けに開発した9mmウルトラ弾(9x18mm)をソ連向けにアレンジした9x18mmマカロフ弾が新開発されて採用された。9x18mmは、ストレートブローバックの拳銃で実用上安全に運用できる最大限の弾薬と考えられていたが、のちにはボディアーマーの普及に対応するため、マカロフ弾をもとに強装化したマカロフPMM弾も開発され、これを使用可能な構造強化型が生産された。PMM弾は、従来のマカロフ弾と同寸なので、PMM弾対応の拳銃で従来型PM弾を使用することはできるが、その逆は安全上、行うべきではない。 なお、弾倉の脱着スイッチについては、原型となったワルサーPPでは通常、迅速な弾薬の再装填を可能とするために握把の左側面上部にボタンが設置されているのに対して、本銃では構造・生産性の簡易さを優先し、握把の下面にレバーを設置する簡略な方式になっている。親指でボタンを押すだけで弾倉を抜ける側面ボタン式に比べ、弾倉の素速い交換には不利であるが、軍用拳銃が実質的には補助兵器に過ぎないという実情を考慮すれば、相応の妥協と言える措置である。 また、本銃のファイアリングピン(撃針)にはリターンスプリングがない。そのため、ファイアリングピンは組み付け状態においても、前後へ自由に動く。もっとも、ファイアリングピンの質量はごくわずかなため、大きな慣性力が働くまでには至らず、弾薬の雷管を誤って突いて暴発事故を起こすことはない。むしろ部品点数を減らし、スプリングの折損による故障を予防する効果を期待できる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「マカロフ PM」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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